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掌の小説 1(芥川と夏目)

いつものこととは云え、先生が湯飲みが冷め切るまで経っても厠から帰ってこられないので痺れを切らした俺は様子を見に行った。
そこには案の定と云うかなんと云うべきか、蒼い顔で蹲る先生がいらっしゃった。
この人はあの潔い筆致とは程遠いほどに弱々しく、そんな先生一人守ってやれない自分の無力さにほとほと嫌気がさしている。
この時代、権力こそがすべてなのだ。
あらゆることが厭になった俺は、思わず先生のその色をなくした唇に、接吻を落としてしまったのだった。
「…水を一杯、持ってきてはくれないか」
円卓の上では、誰に呑まれることもない一杯の湯飲みがあるというのに、先生はそんなことを仰る。
俺はどこまでも無力でちっぽけで、所詮弟子の一人に過ぎないのだ。
「すぐにお持ちいたします」
後ろ髪を引かれるように、厠を後にした。

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いろいろな意味でごめんなさい
反省は していない(・∀・)

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