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魔法使いの弟子(平助と新八)

上手にさよならが言えないのは昔からだ。


「平助が死んだら、オレも、」
「黙れ」

あなたの臆病さを知っています。
あなたの弱さを知っています。
あなたがそれらを食い尽くして尚生き続けられる、進み続けられる強い人だと信じています。


「オレはオレの道を、新八っつぁんは新八っつぁんの道を歩くときが来たんだ」
「嫌だ。駄目だ。平助はオレで、オレは平助なのに」
「泣くなよ」

戦の時には小ささをを忘れさせるはずの身体が実際よりも小さく見えて薄く尖った肩が小刻みに揺れていて、その光景はオレをどうしようもなく惨めにさせる。思わず掌で額を覆った。

「泣かないで、くれ」

そしてオレをひどいやつだと罵って、永遠に忘れて。

かっこ悪い懇願が、声として届くことはなかった。
噛みつかれた唇が痛くて熱くて切なくて、どうしようもなく、甘かったから。

あなたに辛い思いをしてほしくはないのです。
あなたに優しい言葉は掛けてあげられない、臆病で弱くて誰よりも強いあなたはきっとそこを逃げ場にしてしまう。生き続けるべきあなたを、進み続けるべきあなたを縛りつけてしまう。
何もかも上手く行かない。

オレはもう、進めないから。オレが選んだ道はオレの道であってオレの道ではないから。
時代とか、派閥とか、絶望とかに作られた寒く暗い道をあなたには、歩かせたくないだけなんだ。いつでも愛する人には暖かな明るい方を歩んでいてほしい。
自己満足だってわかってる、我儘だってわかってる、それでも、嗚呼。

「「お前なんか大嫌いだ」」

かき抱いた頭も、背中に回された手も、囁かれた言葉も全部、震えていた。
さよならなんて、言えやしないのだ。

------

キレる平助(キレてる、のか?)
離脱前、わかればなし
深すぎる愛、傷つけずには、愛せない


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