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はだけさせた着物から覗く鎖骨に、噛み付くようにくちづけた。
「ちょっと、平助、痛い…!」
「…ごめん」
ごめん。でもやめられない。
その肉体に、骨に、-あなたの美しい精神に、刻み付けさせて。
俺が、確かにあなたと生きていたのだという証を。
「平助、今何考えてる?」
「やらしいこと」
「ばぁか」
「嘘、新八っつぁんのことだよ」
最近は四六時中、考えている。
どうすれば、俺をあなたの中に残せるだろうか。
どうすれば、あなたは俺だけを見てくれるだろうか、俺が欠けた世界で。
なんて、醜い、独占欲。
人1人殺めたところで痛まなくなってしまったくせに、あなたのことを想うだけでぎりぎりと音を立てるぽんこつの心臓を携えて、あなたを抱き締める。
ねぇ、どうか、俺を忘れないで。
「なんか変だよ、平助」
大丈夫?
そう聞きながら、何度も頭を撫でてくれた。
いつもは冷たいくせして、なぜこうも、こんなときに限って、優しくするの?
俺はますます、弱くなってしまうよ。ますます、怯えてしまうよ。
いつ訪れるのかわからない死を、永遠の別離を。
それならばもう、いっそのこと、自ら。
「…なんでもないよ」
俺は上手く、笑えているかな?
なめらかな背中をゆっくりとさすっていると、いつの間にか新八っつぁんは眠ってしまっていた。
なんでもないから、だから、泣きながら眠るのはよして。
壊れた心臓を抱えて、起こしてしまわぬようにそっと布団を抜け出した。
歯車の欠けたそれは、つまり俺は、もはや何の意味も持たない。
それでも愛された日々が、愛した記憶があまりにも鮮明に寄せては返すものだから、慟哭を漏らさずにはいられなかった。
なんでもないよ。
永遠に、愛しているよ。
目覚めると、独りだった。
もう何度目だろう。
首筋に、一輪の花弁が散っていた朝。
一度も痕を残したことはなかったのに。
あの朝、俺は平助が永遠に去ってしまったことを知った。
平助が永遠に俺の中に生き続けることを悟った。
ずるい人だ。
確かに愛していた。
確かに愛されていた。
そして今もきっと、俺は、。
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