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栄口は華奢だ。田島や三橋、そして泉といったあたりは確かに一見して小柄だとおもうけれど、栄口はぱっと見それほど小さいわけではない。
それでも、肩だとか背中だとかの線が細い。
「ちょ、おま、昼飯それだけかよ!?」
昼休みの7組でのミーティング。
栄口の昼食はパックのいちごミルク。掌サイズのあんパン2つ(コンビニで2つで100円とかのやつ)。以上。
栄口は田島や三橋ほどの大飯喰らいではないけれど、育ち盛りの野球部員がそれで足りるわけないだろ。
「あははー、今日ねえちゃん寝坊しちゃってさぁ。いっつも頼りっぱなしだから怒るに怒れないしね…」
いや確かにそりゃそうなんだろうけど。キャプテンとして見逃すわけにはいかない。
「オレの午後用のおむすびやっから!」
「え、いいよーわるいしー」
「よくないしわるくないから受け取れ!ほら、阿部もなんか出せ!」
三橋がこんな食事を摂っていたらブチ切れていただろうが、栄口相手には静かに腹を立てていたらしい阿部もかばんからごそごそと菓子パンを取り出した。
「こいつさー、中学ん時は腹弱くて給食さえ残してたことあんだよ」
「あ、あべぇ!それは内緒!」
「んだよ、うっせぇな。だから食える時には食っとけ。遠慮なんかすんな。あと花井ももっと食え。お前縦だけで横なさすぎ食わなさすぎ」
言うだけ言うと阿部は机の上の資料(次の対戦相手のデータ)に視線を戻した。
「さかえぐーちー!何それ、お昼ご飯。少な!オレのプリンやるよ!」
普段はうるさいだけの水谷だけど、このストレートさが今日は有り難かった。
「なんかみんなごめんね…」
『ごめん、じゃなくて、ありがと!』
3人の声がユニゾンする。
「あ、ごめん、ありがと」
こいつのごめん、が自然に消える日が来るといい。
他人を大切にするように自分を大切にできるようになるといい。
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愛されるゆうと
趣味に走りまくり
おにぎりじゃなくておむすびというあずさにきゅん!
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